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もずのわくわく劇場日記 No.155-6 エリザベート
[トート閣下の策略] 青年将校となった皇太子ルドルフは苦悩していた。それは我がオーストリア帝国を取り巻く最悪な環境、フランスのナポレオン三世、ロシア帝国のニコライ一世、プロイセンドイツのビスマルクと、各国の列強の将達が虎視眈々とオーストリア帝国の崩壊とハプスブルク家の滅亡を狙っている。そして統治下の民族紛争と独立運動をくわだてる臣民の反逆。 オーストリア皇帝・フランツ・ヨーゼフはこの危機をすべて武力、力によって臣民を鎮圧しようとしていたが、ハンガリーの独立運動に対しては、エリザベートの美貌とハンガリーでの人気の高さを利用し、ハンガリーに自治権を認めるとエリザベートに宣言させた。ハンガリーの民衆は「独立」と言う言葉に酔いしれ、しかもオーストリア皇帝妃・エリザベートがハンガリーを独立に導いたとして、益々ハンガリーでのエリザベート人気は高まった。 「エーヤン、ハンガリー!」、「エーヤン、エリザベート!」ハンガリーの民衆は口々にそう叫びながら、ハンガリーの象徴の三色旗を振りかざし、ハンガリー人の長年の悲願である「独立」を祝っていた。 しかし、そのハンガリーの初代国王にはオーストリア皇帝・フランツ・ヨーゼフ、みずからが即位した。つまり、フランツ・ヨーゼフは、民衆の目をエリザベートと独立と言うものでカムフラージュし、感心をそちらに向けさせて置いて、ハンガリー国王に納まる事で、民族紛争と独立運動を沈静化させたと言う訳である。 だが、皇帝フランツ・ヨーゼフの策略を見抜き、だませない人々がいた。それはハンガリーの共和国としての独立を望む「急進派」と言われる活動家の者たちである。「急進派」の活動家達はハンガリーが自治権を認められ独立したと言っても、その国王がオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフでは、本質的に何も変わらないではないか! 皇帝絶対主義、自由な出版も検閲のために出来ない、自主憲法の制定もすべてオーストリア帝国の思うがままでは、本当にハンガリーが独立したと言えるのか! そう言って独立の陰に隠れた闇を憂いた。 そこへ誰とも知れぬ顔の青白い一人の男が現れた。そして活動家たちの前で言った。 「一人の女が国を動かすぞ。キミ達はそれを黙って見過ごしていていいのか? 行け! ウィーンへ!」 活動家の一人が「あなたは?」とその男に聞くが、「名乗るほどのものではない。」と返す。 活動家達はその男の言葉にあやつられるようにウィーンへと向かったのだった。 皇太子ルドルフは「友達」と称する怪しい顔の青白い男と、折に触れて接触して育った。そしてオーストリア帝国の苦しい状況、ハプスブルク家の存亡について、色々な話をその男から聞きながら苦悩していた。 「父上! どうしてお分かりいただけないのですか! このままではハウスブルク家は倒れる。古い帝政を廃止し、新しいドナウ連邦を作る! 諸民族を押えるには、これしか方法はありません!」 皇太子ルドルフは、父・フランツ・ヨーゼフへ強く訴えかけた。するとフランツ・ヨーゼフは激怒する。 「ルドルフ、お前はいつから急進派の手先になったのだ! 寄りによって皇太子からそのような言葉を聞こうとは。私が生きている限り、ハプスブルク600年の歴史は途絶えさせない。考えを改めないのなら、皇位継承は考え直さねばならぬぞ。」 そう突っぱねられる。ルドルフは「友達」と呼ぶトート閣下から紹介され、急進派の活動家とも接触を図り、急進派の話を聞いていた。急進派の活動家たちは皇太子ルドルフと話し合い、理念を固めた。 「皇太子ルドルフが新しき皇帝として即位し、帝政を廃し、ハンガリーなど統治下の民族に共和制の独立国家を認め、それらの小国をルドルフが束ね、連邦国家として納めて行く。」 そうすればオーストリア帝国は滅ぶとも、ハプスブルク家は滅亡する事無く存続し、それぞれの民族も一丸となってドナウ連邦の堅持のためにルドルフに力を貸すだろう。そして我々急進派は、皇太子ルドルフをそのための皇帝の座へ押し上げるために立ち上がるのだと。 ハプスブルク家の存続のため、皇太子ルドルフは父・フランツ・ヨーゼフに掛け合ったのだが、交渉は決裂して最悪な結果になってしまった。もちろんトート閣下の予定通りであるが・・・ お待ちどうさま、ここからアンサンブル・ローズのステージへと戻りますよ♪ 新庄愛はエリザベート役から二役目、皇太子ルドルフになって登場。 そして渡辺理緒ふんするトート閣下も登場し、トート閣下は皇太子ルドルフに話を切り出した。 [皇太子ルドルフの孤独]へとつづく・・・
■これまでのバックナンバー No.0 表紙ポスター No.1 [エリザベート開幕!] No.2 [最後のダンスは俺のもの!] No.3 [エリザベートの自立] No.4 [皇太子・ルドルフ] No.5 [闇が広がる] No.6 [トート閣下の策略] |