もずのわくわく劇場日記 No.134


2005年 1月 5日 (水) ニュー道後ミュージック

渡辺 理緒 ステージレポート本編
「 薔薇の封印 〜運命のリフレイン〜 」



夜のとばりが降り、この町は闇夜の静寂に包まれていた。

客席で寝静まる人々・・・

その時すでに物語は始まっていた・・・


不穏な雰囲気をかもし出すピアノの旋律が、時空を越えて流れ出す。
フランチェスコ、ミカエス、そして今は亡きリニア。

「薔薇の封印」をめぐる物語は、未だに終止符を打つ事無く、繰り返されるのである。

それは運命のリフレイン。

男と男、男と女、そして・・・

何もかもを受け入れてなお、恋慕う女のひたむきな愛・悲しみ・頬を伝う涙。

薔薇の花びらは、血のしたたり落ちるがごとき、赤一色に染まった・・・




暗闇となった場内、そしてステージの上。カミテの幕からスッ! と蒼い薔薇の花が、ステージに差し込む淡い光の中、浮かび上がる。
その蒼い薔薇の花は、白く細長い指に包まれている。胸騒ぎ、不穏な空気。
それはこれから始まるストーリーのプロローグ(序章)だったのだ。

その薔薇を包んだ指は、そのまま無遠慮にステージへ向けて突き出された。

一歩、一歩とステージに歩み出て、その姿を現したのは、紫の帽子を目深にかむり、両腕を広げ、四角に長く伸びた袖の紫コート風、そして黒いマントをひるがえした魔性の男・ミカエスだ!(実は渡辺理緒)

ミステリアスに流れていたピアノの旋律が止まり、過去のいくつもの場面が、短くフラッシュバックされ、時代を迷走し、グルグル回る万華鏡のようなフレーズになる。
とその時! 突然もずのタンバリンが激しくシャキシャキ! と鳴り響いた!

場面は急展開! ステージの上では黒いマントを振り乱し、狂おしく踊り出す渡辺理緒!

紫のメタリックなバンパイア・コートのスソをヒザで蹴り上げるようにして、スラックスの脚、黒いハーフブーツの足先を伸びやかに振り上げて、鬼気迫る迫力でステージを駆け巡る。

タンバリンを叩くもずの手が、はっ! として、一瞬止まりそうになる。
全身に走る戦慄! 鳥肌の浮き出る両腕・・・
目を大きく見開いたまま、気を失いそうになる。こ、これは・・・

渡辺理緒は方ヒザを折り、両腕を広げて大きくジャンプ! 着地するまもなくターンして体を切り返す! まさにつむじ風かタイフーン! 頭の先からつま先に至るまで、発散されるオーラの輝き。

これまでに見た事も感じた事も無い、カミソリのような切れ味、洗練され尽くしたセンスと
イノベーション!(技術革新) 渡辺理緒の存在感を以って、天才と言わしめたイデア(永遠
不変の存在)が、完全に確立された瞬間である!

目深にかむった帽子の両脇、耳からアゴにかけてのフェイスラインが、細くシャープになり、鋭さに磨きがかかっている。渡辺理緒の全身から繰り出す、ダンスの一挙手一投足が、たおやかな動きと言ったら良いのか、これまでに無い絶妙な風景を描写する。

ハイスピードなBGMに身をゆだねる事無く、渡辺理緒のサーキットダンスは、いかんなくそのイニシアチヴ(主導権)を発揮し、見る者の視線を捕らえて放さない。

とその時、渡辺理緒は背中に重く背負った十字架のマントを、振り返りざまに手で引きちぎるようにしてはずす。場面は次のステップへと変わりつつある。ハイキック! 顔にヒザが当る寸前までの、大きなアクション!

帽子を取り払い、パープルメタリックのバンパイア・コートを脱ぐと、上下セパレーツの衣装。それはシースルーのトップと、ヒザ下からスソの広がるパンタロンパンツ。
お腹の辺りは、腹筋がうっすら見えるフィジカルボディー。

額に巻かれた黒く細いバンドには銀の装飾が施され、左右のこめかみ辺りから、それぞれピンクレディーのウォンテッド風の髪飾りが揺れている。

そうなった所で配役が変わる。ここからはフランチェスコの登場! (実は渡辺理緒)

荒ぶる魂を封印する五輪の薔薇と、ミカエスを追って遙かな時を越えて、フランチェスコは
やって来たのだった。

この時代に降り立ったフランチェスコは、前の時代に起った惨劇、最愛のリニアの事を回想し、雷鳴のとどろきに打たれたような気がして目を覚ます。

ステージ中央、シモテに頭を向けて、うつ伏せに横たわっている渡辺理緒。
足の先がピクリ! ピクリ! とわずかに動き、悪夢から未だに解き放たれず・・・
最悪な目覚めだ。

けだるくムクリ! と体を起こし、この時代に降り立ち、フランチェスコ(渡辺理緒)が背負
った運命の大きさに、重いものを感じる。

フランチェスコ(渡辺理緒)は、一人苦しむ。

リニア・・・ あの可憐な君の微笑みは、今でもボクの胸の中に生きている。そしてボクは
パンパイア一族と共に、再び荒振る魂を五輪の薔薇で封印する!
ミカエスよ、どこにいるのだ! 姿を現せ!

渡辺理緒はゆっくりと立ち上がり身をのけぞらせ、長い髪を両手でかきむしり苦悩する。
フランチェスコの心理状態を余す事無く、表現している場面だ。

するとミカエスが配下の者を連れて現れる。そう、ミカエスは荒振る魂をその身に宿し、その力と権力を手に入れていた。フランチェスコとミカエスは、時代を超えて対面した。フランチェスコは孤軍奮戦、ミカエスに立ち向かう。

BGMは変わり、緊迫感あふれるものとなる。

ダダダダン! ダダダダン! 女性コーラスのスキャットが大変だ! これからミカエスとフランチェスコの戦いが始まるぞ! と騒ぎ立てているように聞こえる。

渡辺理緒の一人芝居が始まる。渡辺理緒はフランチェスコ方を演じる。

ミカエスが先に打って出る。負けずにフランチェスコも受けて立つ! 両者の激突! しかし、強大な力と権力をもったミカエスは、配下の者とフランチェスコを取り囲み、フランチェスコは両腕を取り押さえられるが、それでもなお胸を張って、ミカエスに向かって行こうとする。

ところが、フランチェスコは突き飛ばされ、花道へ倒れこむ。突き飛ばされてはしまったが、体は自由が利く。立ち上がったフランチェスコの反撃が始まった。フランチェスコ(渡辺理緒)は床をドンドン! と二回手で叩き、ミカエスを追い詰めるが、しかし、多勢に無勢・・・ 再び劣勢へと追い込まれる。フランチェスコの脳裏に、リニアの姿がよぎる。
いとしきリニア・・・

渡辺理緒はカミテからシモテへと、歩く歩道に乗っているかのように、ス〜っと移動? いや、小刻みに足のつま先とカカトを使って、あたかもスライドしているようにして、水平移動しながら、眉をひそめ、無念の思いを描写しながら、両手の甲を客席側に向け、胸の前でクロスさせて踊っているのだ。動きとしては、バレリーナの踊りをイメージさせる場面である。しかし渡辺理緒が履いているのは、かなりカカトの高いハイヒールである。それを考えると、よくあんな事出来るよなぁーっ! と言うか、よくあんな振り付け考えるよなぁー! と関心させられる。

渡辺理緒の体が小刻みに揺れてる。それがまたものすごく悲しげで、胸が凍える・・・

そして戦いの結果は? フランチェスコはミカエスに負けてしまい、何でこ〜なるの?! と、
渡辺理緒は、ヒザ立ちで客席を振り返り、唖然とした表情をしたところで暗転・・・
場面はベットへの導入となる。

フランチェスコとミカエスの、壮絶な戦いは終わり、誰れもいなくなったステージに、ストリングス(弦楽器)の悲壮感の漂うフレーズだけが流れて来る。

やや間を置いて一輪の真っ赤なバラの花を持った一人のオンナが、けだるそうに登場した。
黒いシースルーの合わせのロングナイトドレス、襟元と足元までを黒い羽でゴージャスにあしらわれたものだ。そして靴はエナメルの黒いハイヒール。

このオンナは一体誰だ! ポーラスと言う。彼女はこの時代に生まれ、タンゴダンサーとしてフランチェスコの門下、直弟子としてフランチェスコにレッスンしてもらっているうちに、フランチェスコに恋心をいだき、以来、フランチェスコの事を追いかけていた。

もちろんフランチェスコに、その燃える想いを告白した事があるのだが、フランチェスコはポーラスの想いをうれしく思ったけれど、実は自分はバンパイア一族である事、ミカエスとの運命のジ・ハード(聖戦)の事、亡きリニアへの想いを正直にポーラスに話した。

ポーラスは、そんなフランチェスコに言った。

「あなたがバンパイアでもいい! 戦うのなら、私を連れていって!」と言った。

フランチェスコは自分の事を、そんなにまで想ってくれるポーラスに言った。

「君は普通の人生を歩んでいかなくてはいけない。」と諭すように言って聞かせる。

自分と共に歩いて行くと言う事は、いつ果てるとも知れない、時を渡って行かなければならない運命を、背負ってしまった自分と、同じ苦しみをポーラスに与えてしまう。愛するが故に自分からポーラスを引き離すフランチェスコの孤独・・・

ポーラス(実は渡辺理緒)は、自分自身の想いを象徴する真っ赤なバラの花を、手に持ってフランチェスコとミカエスの戦場へとやって来た。ところが戦いに敗れ、倒れているフランチェスコの事を見て、深く落胆する。

渡辺理緒(ポーラス)は、その真っ赤な一輪のバラの花を、いとおしそうに口にくわえ、涙ながらにステージで悲しみの踊りを演じる。

花道を渡り、その真ん中辺りでくわえていたバラの花を手に取り、じっと見つめたあと、そのバラの花びらを一枚・・・ また一枚とむしって行く。その中の一枚の花びらをくちびるにあて、くわえたままベットステージは進んで行く。ホントに切ないパフォーマンスに、思わず客席からはすすり泣く声が・・・

ピアノのソロフレーズが悲しくドラマチックに流れ出し、それに重なるように泣きのギターソロ。いよいよステージはクライマックスを迎える。

真っ赤な照明が、一人盆の上に座り込む渡辺理緒を浮かび上がらせる。その中で渡辺理緒はポーズを次々と繰り出し、そのポーズの美しさたるや、あたかも絵画の美術品である。

フランチェスコよ、あなたがバンパイアならば私の血を吸い、私をあなたと同じバンパイアにして欲しい。そして私は永遠の命を授けられ、永遠にあなたと二人、愛し合い、そしてあなたと二人で戦うわ。おぉ、フランチェスコよ、それなのにどうして私を残し、あなたは一人去って行くの・・・ Lady Want you say me〜♪

BGM とあいまってそのクライマックスのベットショーは、まさに歌うようなドラマチックなベットシーンと言える。私はこらえきれなくなった涙を、指でぬぐいながら、ステージに戻って行く、渡辺理緒の後姿をぼやける視界のなかで見送った。

ステージにたどり着いた渡辺理緒は、客席を振り向き、ラストポーズを決めてそのまま照明が消された・・・


[総評]

渡辺理緒嬢、またまたやっちゃってくれました!
いつも彼女は私の期待を良い意味で裏切るのだ。つまりは私の期待を常に上回る、はるかに超える最高級のステージ、作品をぶつけて来る。(笑)

前作・ギャンブラーの時はね、創作中に色々リオさんから聞いていたので、あぁ、相当入れ込んで構成を練っているんだなと、進行状況が分っていた。それでも実際に、出来上がったリオさんのステージを見て、ド肝を抜かれた。

ところが今回の作品「薔薇の封印」を考えていると言う事は、そう言えばちょっと、ほのめかしていた事はあるんだけども、私にとっては「えぇ〜っ! いつの間にこんな作品創ったのよォ〜!」と、寝耳に水。

正直言って、驚きを隠せないし、ますます渡辺理緒レポートを書く、専属レポーターの私のプレッシャーは大きくなるばかり。

今回一番驚いた事は、ギャンブラーの時以上に、渡辺理緒さんのダンスの質が変わっていたと言う事。リオさんが一振り腕を振り上げる、そんな一振りの動きがなんて言ったら良いのか分からないんだけど、ストリップの踊り子が踊るって言うレベルじゃ無い!

リオさんは最近? 宝塚歌劇団にハマッテいるそうで、その影響が色濃く反映されているのだと思う。ダンスの表現方法がこれまでとは、比較にならないくらい違うし、なんて言うか、もうステージに出て来て、踊り始めた時点で「あれ? 何これ? 何で? どうしちゃったの?」と、その違いが一目見ただけで誰にでも分る。これは特に私がリオファンで、ひいき目に見ているからとかではなく、ホントに誰が見てもすぐに分るレベルなのである。

少なくてもダンスの表現方法が、ストリップの物とは、まったく違うと言う事に気が付くはずだ。場内にいたいつも道後で見かける「渡辺理緒評論家」のお客さんが、驚愕してこんなコメントを言っていた。

「このステージは、渡辺理緒にしか踊れない! 渡辺理緒じゃなきゃ踊れない!」

いやいや、この言葉はそっくりそのまま、私の言葉として私からも渡辺理緒さんに贈る。そりゃぁ、同じ振り付けを覚えてそれなりに踊れる人は、他にもいるだろうけど、渡辺理緒さんの描写するドラマの風景を描ける人は他にはいないと言う意味でだ。

だがぁ〜! この渡辺理緒さんの新作「薔薇の封印」について、まったく問題がないと言う事でもない。これはあくまでも私個人の感じた思いであるが、基本的に「薔薇の封印」の話、ストーリーを知っていないと、渡辺理緒さんのステージの面白さが浅くなってしまう。

「薔薇の封印」の原作と言うのは、一人の男が十字軍の騎士として敗走している時、薔薇の谷に迷い込み、一人の女に助けられる。そこからドラマは始まって、バンパイアとして数奇な運命をたどる男・フランシスが、宿命のライバル・ミハエルと時代を超えて対決し、荒振る魂を封印するために五輪の薔薇を追って、この二人がいくつもの時代に現れ、それぞれの時代でドラマを巻き起こすと言う、エンドレスな場面を集めたオムニバス版・物語な訳です。

原作は小池修一郎さん。それをベースに、渡辺理緒さんが自分なりのイメージストーリーを創作したものなんですよね。で、渡辺理緒さんが今回演じたのは、オムニバス版の中の一つのストーリーしかも渡辺理緒のオリジナル設定の物語。そう言うことがあって、今回私が私なりのイメージストーリーを書いている。少しでも渡辺理緒さんが演じているステージを、深く楽しんでもらえるようにと。

そしてもう一つ、重大な事。渡辺理緒さんのステージで抜けてしまっている場面。
それは、最初に登場するキャラクターが踊る場面のどこかに、血を吸う場面を入れて欲しかった。何でかと言うと、なんの先入観も無く始めてあのステージを見た人が、あれはバンパイアのキャラだと、気が付きにくい。普通、吸血鬼ドラキュラとバンパイアとの区別が付く人って、あんまりいないし、やっぱし、渡辺理緒さんのあの真っ赤なくちびるで、血を吸い、吸ったあとにそのくちびるを指でぬぐうシーンがあれば、そりゃぁ〜 セクシーなステージになっただろうと、ちょっと残念だった。なんでくちびるをぬぐうシーンをやらなかったんだ〜っ! 見たかったゾォ〜!

まぁ、ストリップのステージは持ち時間も少ないし、しょうがないんだけどね。

それにしても新作「薔薇の封印」は、選曲が絶品ですよ。オープニングの曲もずっと耳に残ってるし、ラララ〜、ラ〜、ラララァ〜♪ タララァ〜、ラ〜、ラララァ〜♪ テェ〜、レ、テッテッテ、テェ〜レ、テッ、テ、テテ♪ おぉ〜カッコイイ〜なぁ〜 
オリジナルキーは、Cm なんだよね。
ギターコード譜だと4/4 Cm |Cm |Cm B♭|Cm |〜 みたいな感じ。(^o^)

そしてラスト曲の泣きのバラード! 叫ぶようなエレキギターのフレーズがめちゃくちゃカッコイイ♪ そして男性ヴォーカルの、Lady〜 の問いかけるような歌声も♪ こうなりゃ夜明けまで渡辺理緒さんについて語るぞ! なに? 付き合いきれないって? そう? (笑)

ではこの辺で終わりにいたしましょうかね。(爆♪)

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