もずのわくわく劇場日記 No.139-1 2005年 6月 5日 川崎ロック座グランド・アモーレ! 偉大なる愛の名のもとに・・・ 新庄愛&渡辺理緒 アンサンブルローズ 第一章 「渡辺理緒・暗殺計画」 その不審な男はあたりの様子をうかがいながら、黒いカバンを胸に抱きしめるようにして川崎ロック座の入場券を手に入れた。通常料金6,000円のところを、メンバーズカードをチラつかせる事により、まんまと千円値切っての入場だ。 その男とは一体何者であるのか・・・ 「ルイジ・もず・ルキーニ」その男の名だ。これから先、来年に至るまでこの男はずっと、 このページに登場する事になるので、頭の片隅にでも覚えておくと良いだろう。 「もず・ルキーニ」はここ五年の間、踊り子・渡辺理緒につきまとい、ただひたすらにステージを見続けながら、そのステージの様子を書き記していた。どう言うつもりなのかは知らないが、彼には彼なりの美学があり、そうしているらしい。 それほど踊り子・渡辺理緒のステージを愛し、命を燃やしながら「渡辺理緒」と言う踊り子の完成。そして、それを永遠の輝きとして後世に残す事のみを、自らの夢としているのだとか。 しかしそれゆえに、もず・ルキーニは無謀なくわだてを、腹の中によどませていた。 それは・・・ それは今、踊り子として、女として、深く円熟し、まさに絶頂を向かえようとして いる「渡辺理緒」の美貌と華々しいステージを、永遠のものとするための企て。 「時を止めて薔薇の花の十字架で、それを封印する! 渡辺理緒の体力が衰え、ステージが 色あせてしまう前に、永遠の生命を与え、伝説の踊り子とする!」 そのための「もず・ルキーニ、渡辺理緒・暗殺計画」なのだ。 第二章 「グランド・アモーレ! 偉大なる愛だ!」 もず・ルキーニは、注意深く川崎ロック座の場内に通じる秘密の黒いドアを引き、薄暗い場内へと入って行く。無言のままひっそりと潜伏し、さりげなく一般客を装い、盆に一番近い客席のバーの上に両ひじをつき、ひとまず落ち着いた。 ステージの上では「風間ゆず」と言う、「もず」と良く似た名前を持つ踊り子がポラショーをしている所だ。「ゆず」、「もず」・・・ うん〜、他人とは思えない。 ついでにこの子も暗殺しようか(爆♪) さて、人懐こそうな「風間ゆず」の持ち時間も終わり、ステージはいつしかフィナーレとなっていた。もず・ルキーニは、ゆうべの寝不足のために、意識がもうろうとなっている。 ただ、無意識に左右両方の手のひらだけがぶつかり合い、他の客のように手拍子を自動的に打っている。 次々と今週この川崎ロック座に出演している娘達が、愛想良く一人ずつ盆と舞台の間を行き来している。暗殺者「もず・ルキーニ」の目の前を、見慣れた細い足が近づいて来る。 もず・ルキーニは「はっ!」と我に返り、顔をあげた。 亜麻色の長い髪、音を出してはいない形ばかりの手拍子を叩きながら、盆の上を歩いて行くのは、まぎれも無く愛すべき標的・渡辺理緒だ! その時、もず・ルキーニの手はゆっくりと、懐に忍ばせた短刀をにぎりしめた。 「グランド・アモーレ! 渡辺理緒に偉大なる愛を!」 そう叫びながら渡辺理緒めがけて飛び出そうとしたその瞬間、渡辺理緒が一段高い盆の上から客席を見下ろし、もず・ルキーニの瞳を捕えた。 「Wink ♪」 もず・ルキーニの目には、渡辺理緒が左目のまぶただけを一瞬閉じ、ウィンクしたように見えた。見間違いだろうか、いや、確かに私に向かって、渡辺理緒はウィンクをした。 「バレた、見つかった!」そう思った時、懐の短刀を固くにぎっていた「もず・ルキーニ」の手から、潮が退くように、チカラが抜けて行く・・・ 渡辺理緒は何事も無くクルリ! と盆の上できびすを返し、舞台へ戻って行く。 その些細な出来事には、まったく気がつかないまま、渡辺理緒の後ろに続く新庄愛が通過して行く。 ステージの上にずらりと横一列に並んだ踊り子たちが、客席をながめている。 しかしその中で、中心よりややシモテ寄りに並んでいる渡辺理緒が、となりにいる新庄愛のわき腹を指で突っつき、振り向いた新庄愛に何やら耳打ちをしながら、もず・ルキーニを指差し、密談を交わしている。 クスクスと新庄愛が小さく笑う。すると渡辺理緒はそれに合意するかのようにして低く笑う。もず・ルキーニは、そんな二人の様子を見て顔を伏せ、上目使いでのぞき込むようにして、 もう一度ステージの上の二人を見返す。 リオ「あのね、もずさんあそこにいるよ。」 新庄「どこどこ? あっ、いた!」 リオ「もずさんはさぁ、霧やんのファンらしい。」 新庄「へぇ〜、そうなんだ? 結構マニアじゃん♪」 リオ「でしょ? もずさんはきっと霧やんみたいな人が好みのタイプなんだね。」 新庄「つーか、いつからもずさん宝塚のファンになったんだろ?」 リオ「ついこのあいだから。(笑)」 新庄「ん? もしかしてリオが調教した?」 リオ「違うよ、自分からハマったみたいだよ。」 新庄「そうかぁ〜? 何事にもリオはまわりの人を巻き込むからなぁ。(爆♪)」 リオ「それはあるかも知れない。」 新庄「まぁ、いずれにしてもあたしたちの仲間が増えた。(笑)」 リオ「そうね、歓迎の儀式やろうか?」 新庄「あれか、感動の名場面。(爆♪)」 察するに、およそこんな会話が渡辺理緒と新庄愛の二人の間で、交わされたのではないかと思われる。フィナーレが終わり、幕が閉まる。すると、その幕をかき分けて、渡辺理緒と新庄愛が歌いながらステージから花道へと踊りながら進みはじめた。 ♪闇が広がる 人は何も知らない 誰かが叫ぶ 革命の歌に踊る 闇が広がる この世の終わりが近い・・・ 互いに向き合って腕を取り合い、腰を低く落としながら、交互に足を入れ替えるようにし、 そして新庄愛の背後に回り込んだ渡辺理緒が、後ろから新庄愛を抱きしめる。 場内のお客たちが訳も分らないまま、突然幕から出て来た渡辺理緒と新庄愛のダンスに拍手と笑い、そして奇声を上げて喜んでいる。この場内に二人が踊ったダンスの意味が分る者は、 多分誰もいないだろう。 もず・ルキーニだけは、そんな二人のダンスを見て、一緒に歌いながら狂喜していたのだった。ちなみにもずさんは、確かに「霧やん」のファンであるが、「スッピンの瀬奈じゅん」 が大好きで、嫁にしたい! と一人、部屋でラブコールを送っている事を誰も知らない。 (爆♪) 次回へ続く・・・ |