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もずのわくわく劇場日記 No.136 渡辺理緒姉 編「 ドキドキ雪乃ちゃんの巻 」 ここはどこあろう、晃生ショー劇場に出演中の、踊り子達が集う楽屋である。 出演のメンバーは、1.神崎雪乃 2.夏樹蘭 3.片瀬叶愛 4.仁豊 5.渡辺理緒 6.フィナーレ と言う香盤だった。 晃生と言えば、神崎雪乃のホーム劇場。 華麗なる華のトップステージを飾るのは、もちろん我らがゆきのたんこと、神崎雪乃である。 どうやら今回は、これまで何度もご紹介した出し物「影炎〜かげろう〜」を演じるようだ。 元々この「影炎」と言う作品の振り付けを行ったのは、誰あろう「渡辺理緒」その人である。 神崎雪乃は「渡辺理緒」の事を、「おねぇ〜♪」と呼んでいる。 神崎雪乃にとって、渡辺理緒はドトールのカプチーノ・ラテで偽姉妹おっと、義理の姉妹の杯 を交し合ったと言う、深い「契り」を結んだ間柄であり、また、渡辺理緒のダンスの魅力に、 魅了され、折に触れ渡辺理緒からダンスの手ほどきを受けていると言う妹分である。 この二人は、もずのイメージショートストーリー「ルビー・トリガー」のモデルとなった二人 でもある。実に仲が良いし、その信頼関係は揺ぎ無いものである。 化粧前で鏡をのぞき込みながら、出番の近づいた神崎雪乃は、丹念にファンデーションのパフ を、パタパタと小刻みに顔にはたいて、準備を調えていた。 するとその鏡の背景に人影がチラリ! と見えた。 「おねぇ〜、どこ行くのォ〜?」 神崎雪乃は振り返りもせず、鏡の中に写る渡辺理緒に声をかけた。 ( ̄ロ ̄;) ぎくっ! 「う、うん。両替にね、そ、そう! 両替に行って来る・・・」 「両替? おねぇ〜、今日の出し物は薔薇の封印やろ? ギャンブラーやるの?」 「ん? ギャンブラー? やらないよ? 」 「ほな、ドルチップいらんやろ?」 「そうじゃないけど。ロビーで両替してもらわないといけないから・・・」 「なんや? ロビーって? ロビートリガー! なんつって♪ あはははは♪」 ・・・ふぅ、やばい、やばい。ゆきのに気が付かれたかと思って焦った。 それにしても「ロビー・トリガー」だなんて、なんて寒いオヤジギャグだろ。 でも、ゆきのが鈍くて助かった♪ よし! 計画は順調。 とりあえずここから脱出しなくちゃ♪ 渡辺理緒は何やら企てているようである。 さて、そんな事にはまったく気がついていない神崎雪乃は、特殊メイク? も完成して、 さらに鏡に近づいて目を大きく見開き、右を向いてみたり、左を向いてみたりと、メイクの チェックを行い、真っ赤な上唇と下唇を合わせて、ヌメヌメした後ティッシュを一枚箱から 取り出し、それを広げたまま軽く唇に挟んだ。 「よし! でけた♪ 惚れ惚れするような美女の出来上がりィ〜♪」 ちょうどそんな頃、お客たちも思い思いの座席に陣取り、開演を待ちわびている。 衣装も身に着けて、最終チェックを終わった神崎雪乃は、オープニングのアナウンスを舞台 のソデで待っていた。 客席の照明が落とされ、いよいよ晃生ショー劇場、本日第一回目のショーが始まる! 場内アナウンスが始まり、神崎雪乃登場となる。 耳慣れた「影炎」のオープニングのイントロが、ミュートギターのリフレインで始まる。 神崎雪乃は舞台のソデ幕から、ゆっくりとステージに進み出る。 わずかに緊張した頬をこわばらせ、薪能を舞うような足取りでステージの上で、円を描きながら、ずっしりと重い刀を光らせている。 カッシーを思わせる手拍子の音が、神崎雪乃の耳に響く。 「誰やねん? あの手拍子の音は・・・」 踊りながらさりげなく客席を見回してみた。すると、ある一点で神崎雪乃の視線が、一人の お客の姿を捕えた。 「おっ! あそこに見えるのは、○さんじゃあ〜りませんか♪」 ちょっと大げさに神崎雪乃は驚いたように、のけぞって見せる。 「さすがやなぁ、○さん。一回目からちゃんと乗り込んで来てるわぁ・・・ おねぇ〜はトリやのに、ホンマお客の鏡やね♪ それにしても、ど真ん中に座ってるつーのはすごいなぁ。(笑) ものすごい存在感ある・・・」 そんな事を考えながら踊っている神崎雪乃の事を、じっと息をひそめて見ている者がいた。 「ふ〜ん、なかなかいい感じで踊ってるじゃない。」 それは、先程そっと楽屋を抜け出そうとしている所を、神崎雪乃から不意に呼び止められてしまった渡辺理緒だった。確か両替に行くと言って、楽屋を出て行ったはずの渡辺理緒が、なぜ客席に? 実は先述したのだが、神崎雪乃にこの「影炎」の振り付けを創作し、プロデュースしたのは渡辺理緒である。今回の晃生で、せっかく一緒になったので、その後どのように神崎雪乃がこの作品を踊っているのか、そして、きちんと自分のモノに出来ているのか、自分の眼で確かめるべく、客席に潜入しているのだった。 ではなぜ楽屋を出て来るのに、わざわざ「両替に・・」などと言って抜け出して来たのか。 それは渡辺理緒こと「おねぇ〜」の、いや、逆か。 それは「おねぇ〜」こと、渡辺理緒の親心? 姉心? 師匠心? まぁ、どれでも良い。 自分が客席から見ていると言う事で、神崎雪乃に余計なプレッシャーを与えてはならない。 普段通りに踊ってる所を、こっそり見て、客観的な評価をしようと言う配慮をしたのだ。 「ありゃ? な、なんだぁ〜? はは〜ん、ここの場面か。」 いつものように「影炎」を踊る神崎雪乃は、いつものように刀を胸の前に立てて、いつものように刀の刃の部分にそっと手をあて、いつものように切っ先から手元の柄の方まで、すぅ〜っと手のひらをすべらす場面をやった。 「なるほどね、もずさんが前から振り付けがヘンだ! 手が切れる! 血が出る! とか何とか意味不明な事を言っていたけど、これは確かにヘンだ。って言うか、私が雪乃に教えた振り付けと違うじゃん。あの子、ここのところ間違えて覚えたな〜? (笑) これでようやくもずさんが、ヘンだ! って言う意味が分ったよ。そ〜言う事なのね。」 神崎雪乃は、踊りなれた「影炎」を自信を持って、順調に踊っていた。 そしてくるりと体を返して、何気なく客席に視線を流す。 すると、暗い客席の中に一人だけスポットライトを浴びたように、くっきり! と妙に目立つ女の客を見つけた。その妙に目立つ女のお客とは一体・・・ 「うりゃぁ〜! おねぇ〜があんなところにおる! ビックし! なんでぇ? さっき両替に行くって言ってたじゃん? 見るなら見るって、一言いえばいいのにさぁ。わざわざ両替に行くなんて、不自然な口実作らなくても(笑) いやぁ、おねぇ〜が見てると思うと、ごっつう緊張するわぁ〜! それにしても何であんな目立つ所で見てんねん? ど真ん中には○さんがどっしりと構えているし、あそこではおねぇ〜が、星一徹! 見たいな眼をしてこっち見てるし・・・ こりゃぁ〜 気合入れて踊らなアカンなぁ・・・」 おすまし顔して踊っているようであるが、実は踊り子は色々な事を思いながら、ステージをしているのである。でも多分、薔薇の封印を踊ってる時の渡辺理緒は、リディア〜! なんて心の中で叫んで、完全にストーリーの中に溶け込んでいるものと推察するが、ど〜なんだろ? こればかりは渡辺理緒本人に聞いてみないと、なんとも言えないのだが。 ちなみに昔、十三ミュージックの木内雪美に「ステージで踊ってる時って、どんな事を考えているの?」と聞いてみた事があるのだが「そうねぇ、"あたしって、カッコイ〜♪"って、自分に酔いしれてるかも。」と言う答えが返って来た。なるほど・・・ 神崎雪乃は客席から注がれる視線を、ドキドキと意識しながらも、ステージを踊り終え、ラストポーズを決めた後、ステージの上から叫ぶように言った。 「ビックリしたなぁ〜! なんでおねぇ〜、そんなとこにおるん? あっちに○さん、こっちにおねぇ〜。メチャメチャ緊張したわぁ。」 神崎雪乃からそう言われた渡辺理緒は、「ん?」と首をかしげてイテテ・・・じゃない、不思議そうな顔をして言った。 「なんで? 私がここにいたの分らなかったでしょ?」 そうだ、渡辺理緒にしてみれば、神崎雪乃に気づかれないように客席に埋没して、ステージの様子を見ていた。このあたりの席ならば、照明の影になってステージで踊っている踊り子からは、見えにくい席だから、わざわざこの位置で見ていたのだ。 「あははっ♪ なに言うてるねん、おねぇ〜の頭の上をよ〜っく見てみィ〜なぁ。」 そう言われて渡辺理緒は後ろを振り返ると、頭上を見上げた。するとそこには・・・ 「なぁ〜♪ 非常口の誘導等が壁にあるやろ? それがおねぇ〜の事を上から緑色に照らして、目立たんどころか、ピン当てられてるみたいに客席で一人、浮かび上がってよ〜く見えたわぁ。 」 場内大爆笑♪ 「あちゃぁ〜、全然知らなかった・・・ 見えてたのかぁ〜。」 「あははっ♪ まったく、おねぇ〜らしい事やな。 」 かくして渡辺理緒らしい配慮の行き届いた隠密行動は、神崎雪乃にはバレバレで、作戦は見事にコケたのであった。(爆♪) さぁ、ちょうどもずさんの持ち時間がなくなりました。(爆♪) おあとがよろしいようで・・・ このお二人さん、晃生よりも「なんば花月」に乗った方がおもろいかもね。(爆♪) では今回はこれにて終了♪ 4月中の名古屋・銀映で、薔薇の封印パーフェクトヴァージョンを踊る予定の、 渡辺理緒おねぇ〜に、乞うご期待!! |