屋根裏談話室

#51 愛しのカノン!(8)

8. 歩くストリップ史

ストリップの上演は通常、一日に四回ある。そのうちA氏は第一回目の上演を一通り見終わった。と言っても踊らない外人ダンサーにも、個室サービスにも興味が湧かなかったので、外人ダンサーが出ている時には、バッグで座席をキープして置いてロビーへ休憩に出ていた。その都度ビールの青年もロビーに出て来て、A氏にストリップについていて、色々話を聞かせてくれた。

「せっかく6人も踊り子さんが出演しているんだから、みんな岩崎カノンさんみたいに踊ってくれればいいのにな。」とA氏が言うと、ビールの青年が解説してくれた。

「ストリップ劇場と言うのは、カテゴリーと言うか、基本的に2つのタイプに分類できる。系列館、単独館。系列館と言うのは、フランチャイズでは無いけれど横のつながりがある劇場。単独館と言うのは、温泉場や地方に多く、いわゆるストリップ業界とは関係も無く、劇場経営は小屋主が独自に行っている。ソープとかの風俗店の隣にストリップ小屋もあって、両方とも経営者は同じとか。例えば埼玉の七蜂座なんかがそうだ。

さらに分類すると、アイドル館、本番劇場、素人館。アイドル館はネーミングの通り、アイドル系の若い踊り子さんや、美形の踊り子さんが出演し、個室サービスなどの、いかがわしいサービスなどは、基本的にする事は無い。浅草ロック座や新宿ニューアート、川崎ロックなどが系列館でありアイドル館の代表的な劇場。

本番劇場と言うのは、今いるここみたいな劇場で、個室サービスがメイン。良く埼玉系の劇場とか呼ばれてるね。何でかと言うと埼玉にある劇場は本番劇場が多いのでそう言われてる。素人館と言うのは、文字通りプロの踊り子、つまり踊り子で生計を立てている人ではなく、大学生や主婦? のような素人さんが、アルバイトで踊り子として舞台に上がる。ただ、プロの踊り子さんも数人出るけど、ゲストのような感じになる。でも素人踊り子で出てる人の中には、プロの踊り子さんの踊るステージを見て、あまりにも素晴らしいステージに感動してプロの踊り子を目指して勉強の末、プロとしてデビューする人もいる。京都のモモコさんとか金蘭さんとか。いずれにせよ関西の劇場しか素人館は無い。

そもそもストリップで全裸になったのは大阪の劇場から。良く~OS劇場とか言う劇場があると思うけど、そのOSと言うのは大阪ストリップの略。元々関東の劇場は全裸ストリップはやっていなかった。パンツは脱がなかった。ストリップはアートって言う、とらえ方をしていたのかも知れないね。美と言うものにこだわったのかな。でも結局、お客さんからすれば全部見たくなるのは必定で、全裸ストリップをやらざる負えなくなったって話みたいだ。

また、踊り子さんたちのショーにも色々な種類があって、ダンスステージだけの人、花電車ショー、入れポン、白黒、まな板(生板)ショー、などがあって、どれをやるかで踊り子さんのギャラが格段に違ってきたりする。言うまでもなくソロダンスと言われるものが、一番ギャラが安い。なぜならばソロダンスショーがストリップの基本だから。

A氏はビールの青年のウンチク話を、関心して聞いていた。まるでビールの青年が、生きるストリップ史のように思えてきた。

(2021.02.21)

#44 愛しのカノン!(1)
#45 愛しのカノン!(2)
#46 愛しのカノン!(3)
#47 愛しのカノン!(4)
#48 愛しのカノン!(5)
#49 愛しのカノン!(6)
#50 愛しのカノン!(7)
#51 愛しのカノン!(8)←今ココ
#52 愛しのカノン!(9)
#53 愛しのカノン!(10)
#54 愛しのカノン!(11)
#55 愛しのカノン!(12)
#56 愛しのカノン!(13)