屋根裏談話室

#6 1995年 浅草夏の陣(前編)

浅草へ行けば「ストリップ劇場」なるものがきっとあるに違いない。
私は妙なひらめきから、浅草へ行こうと決断した。

さて、浅草へ行ってちゃんとしたストリップを見ようと決めた所までは良かったが、浅草ってどうやって行ったらいいのか全くわからなかった。私の生活の足は、もっぱら自動車だったので、公共交通機関にはすこぶる弱い。じゃぁ自動車に乗って行けば良いだろうと言うかも知れないが、私は東京都内の道は良く知らないし、23区内は道路が渋滞するのでその気にはなれなかった。

やはり電車で行く方が時間も正確だし、早く行けそうだ。なのでパソコンにバンドルされていた「駅スパート」と言うソフトで出発駅と目的駅を入力してみた。すると中央線に乗り、神田まで行き、地下鉄に乗りかえ、浅草で下車。所要時間1時間26分だそうな。電車だけで1時間26分か。しかも地下鉄に乗るのか。私は自慢じゃないが地下鉄なんぞ生まれてこの方乗った事が無いぞ。

多分乗り換えで迷うだろうな。だって神田には遊びに行ったことがあるが、地下鉄乗り場があるなんて知らなかったぞ。まぁ、行けば何とかなるだろ。何しろ高校の修学旅行で羽田空港に現地集合って言われて、羽田空港がどこにあるのか知らないので、当日集合時間が決まっているのに一発で行くのは無理だと思い、事前に下見に行ったくらいだから。そしたらJRは浜松町までしか行ってなくて、そこからモノレールに乗り換えろとか言われて、モノレールってどうやって乗るんだ? とかウロウロしてたくらいだから。

ともあれ、神田に行って地下鉄銀座線に乗り換えて終点まで行けばいいんだなと言う所までは分かった。そうと分かったら明日行くと決めた。その夜はワクワクして眠れなかった。まるで遠足に行く児童のような有り様だ。

当日。中央線で神田へ行って地下鉄銀座線に乗って、終点の浅草駅で下車した。そこまでは何の問題もなくスムーズに行けたので、駅を出れば駅前に浅草ロック座があると思っていた。ところが出口は一つではなかったのだ。浅草橋方面と雷門方面と言う案内看板があるのを見て、どっちだ? 浅草って言うんだから浅草橋方面だろ。そう思ってそっちの階段を上って行った。改札口を出ると船の乗り場があったり、金色のうんこを乗せたビルが目に入って来た。あちこち歩いてみたが「浅草ロック座」らしい建物や看板は見当たらない。

浅草ロック座と言えば、八王子の山の中、マムシに注意! なんて看板が立ってるところにまで「浅草ロック座」なんて広告看板が立っていたほどだが、私が出た改札口の周辺には看板さえなかった。だとすると、私は出る方向を間違ったのかも知れない。しょうがない、駅へ戻って反対の「雷門方面」の階段を上り直す事にしようと駅へ行って愕然とした。そうか、改札口から出ちゃったので、駅の中を通過できないのか。

とすると、駅を回り込むように道を歩いて行けばいいんだよ。とは言うものの、どの道を歩いて行けばいいのか分からない。しょうがないので感を信じて何となく歩いて行った。それでもこの世は何とかなるようになっているもので、雷門が見つかった。あのでっかい提灯はテレビで見た事がある。するとお店がたくさん並んでる道が仲見世と言うやつだな。良く分からないけど行ってみよう。すると突き当りにお寺があった。とすると、これが噂の浅草寺と言うやつか。

お寺で私はどうすれば浅草ロック座に行けるのでしょうと賽銭投げ込み拝んでみた。しかし仏様は何も答えてくれないので、おみくじを引いてみた。「大凶」まじか! 何事も望みは叶わないと書いてあるぞ! こんな事ならちゃんと事前に地図で浅草ロック座のありかを調べておけば良かった。何しろ目的地が目的地なので、通行人とかに道を尋ねる訳にはいかない。

しょうがないので多分こっちかな? あっちかな? と、再び自分の直感を信じて賑やかそうな方向へ歩いてみるしかなさそうだ。そんな事に時間を費やしていたら、偶然にも道端でヌードショー・浅草ロック座と書かれた看板を見つけた。

しかし・・・ こんな真昼間からヌードショーの看板が出ている建物に入って行くと言うのは気が引ける。人目が気になる。現場は確認したので、一旦ここは一時退却して遠くから探りを入れ、周囲の状況を確認し、状況を見定めてから入場する事にした。ぼちぼちお昼だし、まずは何か食って来よう。

(2020.08.10)

#5 1995年 夏・・・

#6 1995年 浅草夏の陣(前編)

#7 1995年 浅草夏の陣(中編)

#8 1995年 浅草夏の陣(後編)